「手足が冷たい」、「肩がこる」、「しもやけができやすい」、「おなかが冷えると下痢をしやすい」、「腰が冷えると腰痛や足にしびれを感じる」など、冷えの感じ方は人によってさまざまです。気管支喘息や、「COPD」(慢性閉塞性肺疾患)の人では肺に冷えを感じ、捻挫や骨折をすると患部に冷えの自覚症状が現れるといわれています。冷えを感じたら、体のどこかに問題があると考えた方がよいでしょう。
しかし、冷えの治療は非常に難しいとされています。西洋医学では冷えに該当する病名がなく、診断や検査法、治療法がないからです。「東洋医学には、冷えは病気の原因であるという考え方があります。

冷えには、いろいろな原因があります。冬の冷えというと、気温の低下や寒冷が影響して手足が冷たくなったり、体調を崩したりする人が多くいますが、意外な原因もあります。それは、精神的なストレスです。
近年、精神的なストレスと体温には、関係があると知られるようになってきました。たとえば、会社勤めをしている人の場合、異動や転職などで慣れない仕事を始めると、精神的なストレスがかかり交感神経が優位になり、体が戦闘モードになって心臓の鼓動が速く、そして体温が上がってきます。「しかし、1か月、半年とこのような状態が続くとエネルギーがなくなって体温は下がってきます。精神的なストレスによって冷えが起きているときは、自律神経を乱しているストレスを解消することが大切です」(今津院長)。健康に気をつけていても、ストレスの多い生活をしていると体は温かくなりません。スポーツや趣味など、楽しくて夢中になれる活動を自分の生活の中に取り入れましょう。

また、冷えは大人だけでなく、子どもにも見られます。「冬になるとしもやけができやすい」、「風邪をひきやすい」といった不調は、冷えの兆候です。子どもの頃から体を温めることを大切にして、冷やさないように心がけましょう。10代、20代は、男女ともにホルモンバランスが変わる時期。とくに10代の子どもをもつ親は、子どもの体温に気をつけて健康管理をしてあげてほしいと思います。

では、冷えを感じたらどこを温めたら効果があるのでしょうか。病気のあるところは温度感覚が変わるため、温める部位は自分でわかることが多いようです。膝が痛いなら膝を、手が冷えるなら手を温めるというように部分的に温めます。肩がこりやすい人や、首が冷えると風邪をひきやすい人は、首の後ろが大事な温めポイントとなります。
また、冷えると内臓の働きが低下して免疫力も下がり、全身の活動に影響します。冷えから体調を崩しやすい人や手足に冷えを感じやすい人は、全身を温めましょう。四肢末端まで、全身に温かい血液を巡らせるには、へその下あたりを温めるのが効果的。体全体を温めることができます。