「治す」「治る」ということは、本質的にいえば病院に通院しなくなってもいい状態のことであり、患者さん自身がそのことを気にしなくてもよい状態にまでなった場合のことです。そうした意味では、現代医学は決して病気を治せないのです。これが世の中でよく言われる「生活習慣病や慢性疾患や難病は、現代医学では一切治せない」ということの根幹なのです。

そのような生活習慣病や慢性疾患や難病に人々がなぜなるのか、そしてそれらを治癒に導くためにはいかなる考え方や食べ方をすればいいのか。常に勉強と研鑽を続け、自分に合った健康の方法を模索してもらうことが最も重要だと思います。

現代医学は病気を治すという仕事をほとんど果たしていないません。本当の意味での医学は、たしかに人の命を助けるためのものであり、科学でもあるんでしょう。しかし、現代においてその科学は完全に歪められて人を治すものではなくなったといえます。なぜなら悪くしないと儲からないし、病人が出ないとビジネスとして成り立たないからです。現在アメリカなどの先進各国において西洋医学離れが起こっているのは偶然ではありません。発展途上国といわれる国々の一部が、日本よりも幸福度が高いのも決して偶然ではありません。日本の医療費は日本を破たんさせる状況まで迫っており、この対策を行うための基本はまさに食にこそあります。

また、これは食に対してもいえますが、では食を治せばすべてが治るかといえばそうではないこともぜひもう一度お考えいただきたいです。仮に食が医療に取り込まれるようになれば、実はそれは悲劇であります。それは食も含めて人々が医学にそうしてほしいと錯覚しているだけにしかすぎません。今や医学の世界では精神医学を筆頭に、医学が医学を通り越して、世界中のいろんな問題を解決して、世界に幸福をもたらさねばならないかのような風潮が、あらゆる分野に浸透しています。

このように社会的な様々な問題を医療が解決できないにもかかわらず、医療で解決できると考える概念を「医療化」と呼びますが、食が医療に取り込まれてしまえばそれもまた「医療化」になりかねません。医療や医学はもっと縮小して存在すべきであり、医者が主導して行うものではないことを念頭に置くべきです。自分で必ずいろんなことを調べてほしいと思います。それは専門家ではないというのは単なる逃げにしかすぎず言い訳にしかすぎません。医学の危険性や嘘について調べましょう。食の危険性についても調べましょう。現代は著書もネット情報も豊富であり、調べようとすればすぐに調べられる時代になっています。調べない限り必ず不健康になり不幸になる、まさにそういう時代になっています。